◆ 祭とまちづくり論と
 その三要素 ◆
   

アトリエ ユニコーン:川口正秀
2002.4.8掲載
2006.6.7更新
 古来、中国の思想では”陰陽学”により全ての物事は陰と陽で成り立っていると言われています。或いは”昼と夜”又は”光と影”等とも言われ表裏一体で扱われることが多いようです。
日本においても”晴れと褻(ハレとケ)”という言葉があります。この”ハレとケ”を祭とまちづくりに当てはめて、これまでの活動を通じて考察してみました。言い換えれば、ハレは祭(晴れ舞台)、ケはまちづくり(日常の暮し)として考え、”祭とまちづくりの三要素”を導き出したものです。
    
★ 陽(ハレ)祭の三要素 :【静】【動】【華】(せい・どう・か)
【静】: 歴史・文化・習慣などを祈りや儀式として静々と伝えること
  <町には歴史が有る>
町の成り立ちには歴史、文化、地形、気候風土があり、その事を先祖代々の住民達は、静々と受け継いできました。
過去の風水害、地震、火山噴火も含めて後世に知らせ、伝えてゆく努力が必要です。歴史書などでは理解し辛いので、祭などにより楽しく自然に理解できる様に工夫すれば、子供達にも歴史を伝え、地域に愛着を持たせる事ができます。
   
【動】: 競いながら激しく動き、若者達のエネルギーの発散させること
  <若い世代と楽しく暮らせる町に>
現代の社会は、個人主義(利己主義と勘違いしている人もいます)が常識になり、他人との接触が少なくなり、何もしなければ、世代の感覚の差は広がるばかりです。いつの世も、若い世代はエネルギーを発散する場所を常に求めているのです。1年に1度でも良いから、若者のエネルギーと大人達の知恵と経験を融合した祭があれば、老若男女、祭を通じての一体感を経験し、未来の後継者が育つ土壌が出来上がります。町ですれ違う若者達と自然と挨拶を交わすように・・・なんて素敵なことでしょう。
   
【華】: 1年に1度クライマックス(最高潮)があり、祭の華(頂点)を極めること
  <人生に1度は晴れ舞台の主役に>
人は誰でも晴れの舞台に立ってみたいものです。晴れの舞台に立てる人は日頃の実績、行い、人柄によって選ばれた事が証明された人です。家族や、廻りの人から一目置かれ、子供の目から見て憧れの存在であれば最高です。ハレ(祭り)の日に華を持てる人は40〜50代が最適だと思われます。若者の感覚も理解でき、長老達との調整もできる年代だからです。言い換えれば40〜50代の人達が意義を持てるような仕組みと理解が必要です。ただし、できるだけ多くの人達で町を支える為に1年〜2年での交代も考慮します。
   
 ★ 陰(ケ)まちづくりの三要素 :【和】【工】【継】(わ・こう・けい)
【和】: 他町、参加者、各世代との和を保ち調和を生み出すこと
  <和をもって尊しとなす>
聖徳太子が憲法17条でうたい上げているように、1番大切であるにもかかわらず、なかなか上手く行かない事でもあります。私達は年齢や活動と共に家族→友人→近隣→社会等と和が広がり、その中で暮らしています。ひとたび、事故や災害が起これば誰かの手を借りたり、助け合って生きて行かなければなりません。
”和をもって尊しとなす”和をもつことは、まちづくりの基本としなければならない事です。和を崩壊させる大きな要因としては”権力と金”だと考えられます。
何時の世も政治や特定権力と結びついて金銭を含めた道義的問題が多く発生します。
一定のルールをもって、皆でまちづくりを考え、見続けることが大切となります。
   
【工】: 伝統を受け継ぎながらも工夫をする努力を忘れず、競い合いマンネリ化しないこと
  <工夫をしてマンネリ化を防ぐ>
後継者が無くなり、祭りや行事が中止になる事をよく耳にします。”しきたり”を大切にし過ぎて、現在の生活習慣や考え方に合わなくなり、若者の心が離れ、人手不足等の悪循環に陥ってゆくのです。
昔から由緒ある神社やお寺でさえ、歴史による変化があったはずです。基本(筋道)を守りながら、工夫を重ね、世代を越えて、協議することが大切です。
   
【継】: 祭と共に子供たちを育て、将来の後継者を作ること
  <子供は町の宝>
町を愛する子供(後継者)を育てましょう。町に愛着が持てれば、住み続けることができるからです。最近、近隣との付き合いを敬遠する人が多くなってきました。わずらわしさやプライバシーを気にしてか、近所の子供の顔を知らない大人も増えています。昔の子供は悪い事をすれば近所のおじさんやおばさん達によく怒られましたものです。お互いの顔を知っているから注意ができたのでしょう。そこで、”祭り”を通して子供達と出会う場所を作るようにするのです。小さい頃から大人達と笛・太鼓の練習をしたり、一緒に食事をしたりしてお互いの顔を覚えます。大人達は時に優しく、時に厳しく、連携を図りながら子供達を守り、後継者として育てます。子供達は練習を通して心の情緒を形成して行きます。本来、祭りとはそうゆう役割があったものです。ただし、世代のギャップには注意しましょう。年齢が離れすぎると感覚がまったく合わなくなり、会話が一方通行になります。20歳以上年齢が離れないよう人選を考え、意思疎通が出来る組織作りが必要となります。    
   
以上が”祭とまちづくりの三要素”です。
後世までまで伝えられる祭はこの三要素が盛り込まれているようです。
   
その他、祭とまちづくりは”シンボル”を作り、特徴や心のより所を持つ事も重要です。
他の地域に負けない個性を出すことも重要な要素であり町のPRも忘れてはならない事です。また、町の雰囲気を作り出すための祭の音色、お土産、ハレの日の食べ物、祭衣装など、五感を刺激し、町の内外の人たちが楽しめる場が年に1回は作りたいものです。
堀川まつりでの陽のシンボルは”まきわら船”陰のシンボルは御葦(みよし)となっています。
   
 堀川まつりは過去に消えてしまった祭を復活させ、まちづくりを視野に入れて12年間活動してきました。20年程絶えてしまった祭の心が戻るまでには、まだ長い時間がかかると思います。
これからも、祭とまちづくりの三要素を忘れず、多くの人達に伝え続けたいと思っています。


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